


この作品で気に入っているのは背中をsmooth back(スムースバック)に出来た所です。
smooth backというのは背中に余分なフチが一切出ていない作品の事です。
海外の作家さんだと、割りとこういった作品が多い傾向にある印象です。
(smooth backについてはコマツ氏がtwitterでツイートされた内容をまとめた
こちらが参考になります)
それに加え、後肢の部分に今まで使用したことのない立体化の表現を使用しています。
最近、楓さんがティラノサウルス等で独特な立体感を駆使した恐竜作品を発表されていて、
それに影響を受けた次第です。
げんさんがティラノサウルスに使用しようとした後肢の立体化にもちょっと似ているかもしれません。
反対に気に入らない点は、
なんといっても自立しない点です。
僕の作品は翼竜や首長竜等の例外を除けば、自立するように創作しています。
この作品でも全身のバランスを調整したりして何とか自立するように調整してみましたが、
どうあがいても自立出来るような作品には出来ませんでした。
また首と胴体の接続部分がジェイソン・クー氏のHJ・REXばりに硬くなってしまったのも、
僕にとってはちょっとマイナスポイントです。
普通の折り紙用紙で軽い気持ちで折るとぱっくり割れます。ガッデム!
あとは、頭部を左右対称するに当たって調整する部分が多い等でしょうか?
人によっては後肢の指が折り出せていない点も気になるかもしれませんが、
正直僕は、んな事どうだっていいです。
折り紙作品における指は、ただ折り出すだけなら単なる飾りです。偉い人にはそれがわからんのです。
おっと、毒(?)が出てしまいました。すみません。
話を変えまして・・ 冒頭で言った、この作品を正式な作品として採用出来ない理由は
実は上記に挙げた気に入らない点とは別にあります。
僕は一般的な知名度はさておき比較的有名な恐竜ばかり創作しています。
色々反感を買うかもしれませんが、なぜ僕がそういう事をするかというと、
それは僕自身が川畑氏や高井氏が構築した恐竜折紙作品のテンプレートを
僕なりに再構築して、新たなスタンダードを作ろうという目標と関係しています。
代表的な恐竜をあらかた折れば、必然的に全ての恐竜が表現しやすくなると考えていて、
僕の作品はそういった考えを反映している訳なんです。
バリオニクスは比較的知名度の高い恐竜ではあるかと思いますが
スピノサウルス類(?)の中で一番代表的な恐竜とは言い難いので
残念ですが僕の正式な作品には出来ないという訳なんです。
(仮にバリオニクスを正式な作品とした場合、
スピノサウルスは正式な作品には出来ないです)
とは言え、バリオニクスは僕にとってはスピノサウルスよりも思い入れのある恐竜だったりします。
僕が恐竜にハマりだした小学校時代、バリオニクスの模型を叔父に買って貰った思い出があり、
この作品で折った紙の色もその模型の色に影響されています。
(模型は黄緑色でしたが・・)
その当時はバリオニクスのローマ字表記がちゃんと読めなくて”バイオニクス”と間違って呼んでいました。
当時(1990年代)のバリオニクスの復元は四足歩行が主流で、
模型はクマの木彫みたいに四つん這いになって爪先に魚を押さえつけるポージングをしていました。
現在は2足歩行の復元が主流となっていますが、
僕は上記の経緯もあり四足歩行のバリオニクスの方に愛着があります。
スピノの頭部のパーツを試してみたいという軽い動機で創作し
諸々の理由で正式な作品にはし難いとは言え、
バリオニクスという恐竜への思い入れに加え、
僕が使用したことのないような表現方法を積極的に取り入れようとした意欲作でもあるので、
僕の作品の中でどういった立ち位置にしようか「コエロフィシス」や「ニッポノサウルス」
と共にちょっと迷っている作品でもあります。
んでもって、スピノサウルス創作のハードルをまた上げてしまったような・・
でも、1年ぶりに僕の正式な作品を作るのであれば、この程度ではまだまだ満足出来ないです。
僕自身が創作家として一皮剥けれた、大きく成長出来たと思えるような、そんな作品を作りたいです。